一人で電車に乗れるようになった頃から

大学生になる頃まで
何度と無く歩いた病院への道を
再び歩くようになった。
最寄り駅から病院までの風景は
微妙に変わったけれど、
幼い頃、本当に食べたかった洋食屋は今でもあり、
歩くたびに折りたたまれた時間の襞をめくる感じも。
 
病室からは実家のある方向までほぼ一直線に見渡せ、
改めて上町台地以東、河内平野の変貌に驚く。
 
夕暮れの上町台地を歩くと、
1980年の頃の自分の分身が潜んでいる気がして、
ゾッとする反面、何処か安堵の念も。
もう、誰も居ないし、何も残っていないのに。