望郷がきみを襲ってきたら

地平の果てまで追い払え
野鴨は雲を引き裂く
きみは厳冬を背負う
葦は凍てつき、木は枯れはて
強風に枝をたわめる
野鴨はすみかを解き放たれ
飛び立つも死にゆくも、いまや自由
生まれた地と、迎える空とのはざまで
きみの王国はただひとつ、きみ自身の叫び
 
本の片付け中に出てきた
フランソワ・チェンの本をボンヤリと読む宵の口。