身近な家族と

隣人のみしか知らない動物としての人間は、世界の悪に対してイノセント(無罪)である。
しかし、知性を授けられ、道具を使うことを選び取り、動物としての身体能力を超えた行為が可能となり、自らが知り影響を及ぼすことができる可能性空間を地球規模にまで広げた人間は、知性によって力を得たことと引き換えに、生得的に制度設計された憐れみと攻撃抑制の本能の指示を超えて知性を用いて自らの可能性空間全域で起こりうる所業の善と悪を判断し行動するという重い責任を負うことになった。
 
価値観を共有しない敵との対話は可能か/中田考