一九七六年五月一五日、

イギリスの天才的リコーダー奏者・古楽演奏家のディヴィッド・マンロウは亡くなった。三三歳、自殺だったともされる。世紀末ごろの地方都市で音大を目指す高校生だった私は、彼のレコードを聞き、「東京に行けば何かが起きる」「三三歳までに何かを成し遂げる」と決意したのだった。
 それから十数年−。私は、戦後日本宗教と政治に関する研究を進め、いま一冊の本を世に送り出そうとしている。何が何だかわからない。気がつけば、彼が亡くなった年齢も過ぎていた。
 
宗教と政治の転轍点 あとがき・謝辞/塚田穂高

    • -

素晴らしい仕事。
二昔以上前に横山茂雄『聖別された肉体』書肆風の薔薇水声社
ISBN:9784891762360 を読んだ時に覚えた興奮を再び。
そして、あとがきの出だし!
これに匹敵するのは市田良彦ランシエール白水社
ISBN:9784560024553
における、水谷孝の引用くらい。
 
とても冷静に感想は書けませぬ。