昨日、Viennaを

聴いたから、という訳ではないけれど

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むかし貧しいグレーテは、小さな古ぼけたラジオでいつもシュトラウスのワルツを流していた。彼女自身もなかなかいい声でウィーン子らしくよく歌を口ずさんでいた。身障者で夫も子供もなく、孤独でしかも貧乏なのにいつも陽気で、明るくニコニコと振る舞っていた。私が何気なくそのことにふれると、彼女は一瞬真面目な顔になって、 「ウィーン子はね、苦しみや悲しみみたいなものはシュトラウスを歌いながらみんな 喉の中に流しこむのよ」と言った。本書の冒頭で描かれているリーニエの外の民衆の暮しは、もちろん直接私たちが見たり聞いたりしたわけではない。だがそのうちのかなりの部分は、私たちの若いころのウィーンの暮しと二重写しになって、いま頭の中をかけめぐる。あとがきを書くにあたって、万感の想いはグレーテにならってグイと喉から呑みこんでしまおう。シュトラウスが聞こえないのが残念だ。1985年10月6日夜
 
青きドナウの乱痴気/良知力

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いやあ、ホントにこのあとがきは読む度に泣けてくる。
男が死んでゆく時に...とは誰かの歌にもあったけれど、
「まとめてアバヨといわせてもらうぜ」

良知力の『青きドナウの乱痴気』平凡社
ISBN:9784582760248
は、マジ名作。
小田中直樹のレビュー最高。

http://honto.jp/netstore/pd-review_0600965982_191.html